映画感想『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』

ネタバレあり。

 

 

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』

林業もの。キャッチコピーは「少年よ、大木を抱け。」。

去年、友人に勧められていたのをやっと観ることができました。確かに友人が好きそうな映画でした。

原作は三浦しをんさんによる『神去なあなあ日常』という小説。

「神去(かむさり)」は村の名前で、「なあなあ」は「ゆっくりいこう」といった意味の方言。どちらも映画用に作られたものです。

 

三重県のとある村でのお話ですが、三重県出身の友人がよく言う方言がでてきて「おお!」と思いました。否定の「やん」とか。

なんか嬉しい。

 

ボラバイトだとか、リゾートバイト(経験はありませんが)だとかで短期で自然のなかで仕事をする人の生活をドキュメンタリーにしたような映画でした。

ですから観ていて懐かしい気分になりました。

新しい仕事に就いて最初はよく分からないけれど少しずつできるようになる達成感があって、仕事のしんどさと楽しさがあって、美しい自然があって、周りの人たちの温かさがある。

 

ボラバイト中の自分自身の生活をドキュメンタリーにするとすれば、と考えてみたら楽しかったです。

どういった描き方をしようか、どこに焦点を当てようか、心情はどこまで吐露するか…など。

生活を観ているだけでも面白いかもしれませんが、『ユーリ!!! on ICE』の感想でも書きましたが人の心の内が分かるとやっぱり面白いです。

普段テレビでフィギュアスケートを見ているときに、実況で解説は入るものの、演者の心境をリアルタイムで知ることは不可能なので、そういった表現は新鮮でした。

アニメ感想『亜人ちゃんは語りたい』『ユーリ!!! on ICE』 - 麒麟浪漫

 

 

主人公はけっこうマイペースというか、あんまり周りを気にした行動をしないのがいいですね。

もうちょっとそこはどうにかしたほうがいいんじゃ、ってところもあったけれどそういう裏表のない彼だからこそ、周りの人は少しずつですが彼を信頼して惹かれていったのでしょう。

無駄にやる気を持っていたり、自分をよく見せようとしたりするよりも、ちょっとやる気がなくても正直で素直であることのほうが人間味があって良いと思いました。

あのゆるい感じ、風当たりはきついでしょうが見習いたいところです。

 

自然系の映画が好きな人、林業にほんの少しでも興味のある人、ボラバイトやリゾバで自然のなかでの短期バイトをしたことがある人には特におすすめです。

 

 

『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』

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とあることからお金アレルギーになりお金に触れることができなくなったため、お金を一切使わずに生きていこうと決めた主人公のお話。

ジヌとは銭、つまりお金のこと。

「かむろば村」という村に移住するところから物語は始まります。

 

移住したてというほとんどゼロの状態からお金を全く使わないで生活していくというのはやはり無理があるようです。

主人公の場合、最初は周りの人から物をもらったり何かをしてもらったりすることが多かったです。

畑も借りてはいましたが、お米や野菜はすぐにはできませんし、スキルも全くありませんでしたから。

善意でやってもらっていますが、本来はお金がかかること。善意だけがずっと続くわけはありませんし、お金を使っている状態とあまり変わりがないように見えました。

 

生活に少し慣れてからは何でも屋やバイトをして、報酬を現物支給してもらったり。

そういうのができるのは環境は良いですね。そういった観点では都会より人間が生きやすいと思います。

 

普段何気なく使っているお金ですが、「ほしいモノと交換する」という役目だけじゃない、本当に便利な機能を備えているんだなーと改めて感じました。

お金を使わなければ時間がかかります。

そして助け合い、人との関わりが必要になるでしょう。

お金がたくさんあれば、良い意味でも悪い意味でもほとんど人と関わらずに生きていくこともできます。

お金がなくて、さらに主人公のように自力で生きるスキルも乏しければ、やはり人を頼るしかありません。

お金を一切使わずに、なおかつ完全に一人で生きていくことは難しいんだな、と思いました。

 

 

幸福が現実となるのは、それを誰かと分ちあったときだ

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』では、主人公が最期にこの言葉を残しました。

反資本主義で、最終的にはお金を使わずに自然のなかで一人で生きていくことができていた彼も、他者の存在の大切さを語りました。

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人は独りでは生きてはいけないし 生きる意味もない

“生くべき道” それは人と出逢う道である

漫画『55歳の地図』で、歩き遍路を終えた彼が得た気付きです。

55歳の地図

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最終的に『ジヌよさらば』の主人公は、やはりお金を全く使わない生活を、たくさんの人のなかで幸せそうに送っていました。

お金を使わない生活のためには人との繋がりは重要だと思うけれど、主人公はそういった下心で無理やり人と繋がっていたわけではありません。

見返りを求めずに助け合って、与え合う関係はとても素敵だと思いました。

それは主人公自身が元々優しい人間であったこと、お金を使わないという断固たる決意があったこと、その生活をしていく過程でたくさんの人の温かさに触れたことなどが合わさって辿り着いた境地なのだと思いまいた。