ネタバレあり。
『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』
とあることからお金アレルギーになりお金に触れることができなくなったため、お金を一切使わずに生きていこうと決めた主人公のお話。
ジヌとは銭、つまりお金のこと。
「かむろば村」という村に移住するところから物語は始まります。
移住したてというほとんどゼロの状態からお金を全く使わないで生活していくというのはやはり無理があるようです。
主人公の場合、最初は周りの人から物をもらったり何かをしてもらったりすることが多かったです。
畑も借りてはいましたが、お米や野菜はすぐにはできませんし、スキルも全くありませんでしたから。
善意でやってもらっていますが、本来はお金がかかること。善意だけがずっと続くわけはありませんし、お金を使っている状態とあまり変わりがないように見えました。
生活に少し慣れてからは何でも屋やバイトをして、報酬を現物支給してもらったり。
そういうのができるのは環境は良いですね。そういった観点では都会より人間が生きやすいと思います。
普段何気なく使っているお金ですが、「ほしいモノと交換する」という役目だけじゃない、本当に便利な機能を備えているんだなーと改めて感じました。
お金を使わなければ時間がかかります。
そして助け合い、人との関わりが必要になるでしょう。
お金がたくさんあれば、良い意味でも悪い意味でもほとんど人と関わらずに生きていくこともできます。
お金がなくて、さらに主人公のように自力で生きるスキルも乏しければ、やはり人を頼るしかありません。
お金を一切使わずに、なおかつ完全に一人で生きていくことは難しいんだな、と思いました。
幸福が現実となるのは、それを誰かと分ちあったときだ
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』では、主人公が最期にこの言葉を残しました。
反資本主義で、最終的にはお金を使わずに自然のなかで一人で生きていくことができていた彼も、他者の存在の大切さを語りました。
人は独りでは生きてはいけないし 生きる意味もない
“生くべき道” それは人と出逢う道である
漫画『55歳の地図』で、歩き遍路を終えた主人公が得た気付きです。
最終的に『ジヌよさらば』の主人公は、やはりお金を全く使わない生活を、たくさんの人のなかで幸せそうに送っていました。
お金を使わない生活のためには人との繋がりは重要だと思うけれど、主人公はそういった下心で無理やり人と繋がっていたわけではありません。
見返りを求めずに助け合って、与え合う関係はとても素敵だと思いました。
それは主人公自身が元々優しい人間であったこと、お金を使わないという断固たる決意があったこと、その生活をしていく過程でたくさんの人の温かさに触れたことなどが合わさって辿り着いた境地なのだと思いまいた。
『キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争』
映画『キャッツ&ドッグス』の続編。いつの間にか続編が出ていました。
前作は友人に勧められて観ましたが、それももう15年以上も前になるんですね。
前作は犬と猫の戦いでしたが、今作は犬と猫が手を組んで共通の敵に立ち向かうというストーリー。SFコメディ。
CGですが、どのように作っているのかは分かりませんがけっこうリアルに犬や猫が動き、言葉をしゃべります。
思い出補正か、この世界観に慣れてしまったせいもしれませんが前作ほどのインパクトはありませんでした。
犬や猫の組織は地下に拠点をかまえています。
今作の主人公(犬)はその組織のことを何も知らずに生きてきました。
その彼が急に組織に引き抜かれるところから始まるので、前作を観ていない人と目線はほとんど同じ。初めての人でも楽しめると思います。
『サカサマのパテマ』
とある実験の失敗によって起きた大災害により、重力が逆転してしまった人(サカサマ人)の存在、という設定が面白かったです。
ネタバレしちゃうとたぶん面白くないので、興味がある人はネタバレを見ずに本編を観てほしいです。
他人の気持ちを考えるというのは難しいことなんだと分かりました。
気持ちを考えられているようで、全然できていない。想像力が全然足りていません。
主人公であるエイジも自分がサカサマになってみるまで、サカサマ人のパテマの「(空に)落ちる」という恐怖を完全には理解できていませんでした。
それでも、実際にその立場になってみるまで相手の気持ちを理解できないのでは困ります。
同じ立場に立ったつもりでも、実際は同じ状況ではないかもしれないし、同じ気持ちではないかもしれない。
想像力をもっと働かせ、かつ「自分は相手の気持ちを理解できている」と思うことをやめれば、相手の気持ちの理解に近付けるのかもしれません。
最後の最後に「あっ」と思える新事実が出てくるので、それを知った上でもう一度最初から観たらまた違った観方ができて面白いかもしれません。
設定について、いくつかある新事実が発覚した際も劇中では説明がされないため、勘が鋭くないとよく分からないまま終わるかも。
私にも恐らく気付いていない部分がいくつかあると思います。あとは疑問に思ったけどよく考えずに流してしまったところとか。
考察が必要な作品が好きな人には楽しいと思います。
観終わったあとにこのパッケージの絵を見ると、絵の向きにもただの演出ではなくて意味があったということが分かります。
それにしてもよく考えると地下空間広すぎないですか。この時代の科学力ならあの空間を作ることも不可能ではないのでしょうか。
サカサマ人が重力が逆のまま暮らしたら、体に悪影響はないのか。
もしサカサマ人とそうでない人が一緒に暮らすとしたら、どんな家になるんだろう。
もし子どもを作ったら、その子の重力はどうなるの?
劇中に出てくるいろんなグッズもどういう原理になっているのか知りたいです。