アニメ感想『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』『憑物語』『終物語』『暦物語』『傷物語Ⅰ、Ⅱ』



ネタバレあり。

 

 

『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』

物語シリーズ セカンドシーズンBlu-ray Disc BOX(完全生産限定版)

相変わらず、私は戦場ヶ原さんが好きすぎる。

本作1,2話の戦場ヶ原さんの話を聞いているだけで、もう萌えアニメもギャグアニメも必要ないなーなんて思ってしまいました。

以前の冷たさや蛋白さも好きでしたが今では薄れ、鬱陶しかわいくなりましたね。


一瞬パッと画面に出てくるあの文字、コマ送りして読むのがめんどくさくなったので読むのをやめました。もったいないですが。

ちょっとしたギャグとか、その場の説明やしゃべっているキャラクターの心情などが書かれていますが、基本的に読まなくても問題ありません。読んだほうが楽しめます。

 

今期はこれまでの総集編が何話か差し込まれており、それで久々に1期を観ました。気付きませんでしたが、現在とけっこう作画が違ってますね。

総集編Ⅱで阿良々木君がちゃっかり惚気けていてこいつめ、と思いました。今期はあまり活躍(登場)していなかったので、総集編以外での影が薄かったです。

 

私にとって「僕はキメ顔でそう言った」の印象しか残ってない斧乃木 余接ちゃんが、今期もやらかしていました。イェーイ ピースピース。あのシュールさがたまりません。

「僕はキメ顔でそう言った」は黒歴史になったようです。後の『憑物語』で告白したように、彼女にも羞恥心があったのですね。それを微塵も表出しない余接ちゃん…蕩れ*1

 

23話からのOPが80~90年代アニメ風で、レトロで最高。貝木さんの歌の垢抜けなさも雰囲気とマッチ。3回とも飛ばさずに観てしまいました。

 

貝木さんはイヤなやつだと思っていたけど、全然違ったのですね。

物語シリーズには月火ちゃんや貝木さんなど、きちんと自分の頭で考えることができて、さらに頭の切れる人が多いです。彼らは人の心情や言動の理由、そして自己欺瞞をあっさり見抜きます。そして落ち着いている。本当に憧れます。

 

物語シリーズはいつも私の予想を超える展開をしてくるので楽しいです。

そして人の心の深奥を描くこと、伏線をしっかり回収して風呂敷を綺麗にたたむところが本当に素晴らしい。気持ちよく観ることができます。


アニメ版物語シリーズは何期も続いていて、しかも基本的に話数が多い。それだから「世界を滅ぼす」なんてものすごいことをしても、きちんと風呂敷をたためるんだなーと思いました。

そもそも原作、いや著者である西尾維新さんがすごいんですね。

 

 

『憑物語』

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全4話。

「エキセントリックな言動で周囲を楽しませてくれる無表情な子ども」斧乃木 余接ちゃんがメインのお話。

 

「僕はキメ顔でそう言った」

私もその言葉が大好きだったんですよ! 待ってました!

 

この物語が存在するのは「阿良々木 暦と斧乃木 余接との間に亀裂を入れるため」だと阿良々木君は理解していました。説明されるまで私は、この物語になんの意味があるのか全く分かっていませんでした。

それは私がこの物語を傍観者のように観ていたというのもかなり影響しているでしょう。傍観者である限り、何が起こっていても「見たまま」でしか受け取れないのかもしれません。

薄っぺらい表面しか見えていない。そして私自身がこれまでに経験したことのある感情でしか、他者の心情や言動の理由を推測できていない。

「斧乃木 余接が人を殺した」現場を目撃しても、なんとも思わなかったのです。ちょっと悔しかったです。

 

 

『終物語』

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忍野 扇ちゃんのキャラソン、声がかわいすぎません? 誰か分からんぞ!

 

「不幸や不遇に甘んじていることを、頑張ってると思っちゃってるんじゃないの?
そういうのを世間では、何もしていないっていうんだよ
不幸なぐらいで許されると思うな
ハッピーエンドを目指すべきだ

不幸で居続けることは怠慢だし、幸せになろうとしないことは卑怯だよ」

扇ちゃんの言葉。

 

 

『暦物語』

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1話が15分と短いです。

基本的に1話完結の取るに足らない小さな怪談や日常、といった感じ。作画がちょっと残念。

時系列は話によってぐちゃぐちゃです。やっぱり物語シリーズは、『化物語』を観た後は時系列で観たほうが楽しめると改めて思いました。


「どっちに騙されてくれたんだろうな」という7話のオチに考えさせられました。神原、アホのように見えてとても頭がいいんですね。

 

 

映画『傷物語 Ⅰ 鉄血篇/Ⅱ 熱血編』

映画『傷物語 Ⅱ熱血篇』のスクリーンショット

引用元:傷物語〈Ⅱ熱血篇〉本予告(8/19全国ロードショー) - YouTube

 

アニメ映画。

やっと阿良々木君が吸血鬼になった顛末を知ることができました。

ストーリー、音楽、作画、キャラクター、すべてが最高です。最高傑作。

本作だけでも楽しめるかもしれませんが、何十話も存在するこれまでの物語シリーズをすべて観ているとその良さが何倍にもなるでしょう。

 

作画が凄すぎます。

アニメの劇場版でよくある「いつもより作画の良いアニメ」なんてもんじゃないです。

阿良々木君がフツーのイケメンになっちゃって、良い意味でも悪い意味でもアニメ版とはもはや別物に見えます。中身は阿良々木君なんですけどね。

時系列的に登場しないとの分かっているけれど、この作画で動いている戦場ヶ原さんがものすごく観たい!

 

「吸血鬼になれば、そりゃ体つきも変わるわい

回復力は肉体を最も健康的な状態に保とうとするからの」

阿良々木君のあの肉体は、鍛えてできていたわけではなかったのですね…

忍もプロポーションが良いですし、吸血鬼って素敵。


なぜ阿良々木君が忍のことをあんなに愛しているのかが理解できました。

羽川さんへの思いも。羽川さんの良さ、私はこれまでずっと分からなかったのですが、これは好きになるわ…と納得してしまいました。逆も然り。羽川さんかわいすぎるでしょう。

本当に阿良々木君は後先考えないで行動しますね。そこが相手思いで非常にかっこよくも見えますが、それが悪い方向に働いてしまったときは迷惑でしかないのですが。

 

一人ずつ強敵(?)を倒していくストーリーも良かったです。


阿良々木君が吸血鬼になった経緯の話は本当にこの最終話(なのか?)で良かったと思います。もし物語シリーズの1期1話目でこの話があったのなら、ここまでの感動はなかったはず。私だったら「ありがちなラブコメ」と片付けていたかもしれません。

長い物語シリーズで読者(つまり私)の「どうして? どうして?」という疑問と共に、積み重ねてきたキャラクターたちへの信頼が、この物語にとんでもない奥行きを出したのです。

 

早く『傷物語Ⅲ 冷血編』が観たいです! DVDは今年7月12日発売! 楽しみです。

 

 

*1:『化物語』での作中で戦場ヶ原さんが作り出した、「萌え」より一段階上の言葉。